5.11
『ある過去の行方』
なんだかしっとりした映画が続く、アスガー・ファルハディ監督『ある過去の行方』。監督の前作『別離』も好きだし、今回も納得の面白さだったんだけど、さすがにどこまで離婚問題に興味ありなんだとちょっと笑ってしまった。
既に別居し、あとは離婚手続きを済ませるだけの夫婦、妻にはそれまでの連れ子と新しい彼氏がいるも、ふたりの交際に反対し反抗する長女、そこに隠された真実がスリリングにわかるようなわからないような。人間なんてガラス一枚挟めば大事な相手のこともよくわからなくなる脆い生き物だよねとうんざりしながら感動。なんかもうこういうことになっちゃったらどうしようもないけどどうにかせなあかんのよなあと。
結構ごちゃごちゃした話なのに、それを説明するために映画が作られてる感じがしない演出がよろしい。だから身勝手な登場人物たちにイライラしたりもするんだけど。ただ、小さい子どもが言うには過酷過ぎるセリフには疑問が残った(駅でのシーン)。
『アーティスト』のときはあまり良いと思えなかったベレニス・ベジョが、今回は素晴らしい。『パリ、ただよう花』で最低男だったマチューくんが今回もなかなか酷い男役で、頑張ってほしい。