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5.26

爆音『眠れる美女』

公開当時多分夏で、イメージフォーラムまで行くパワーがなく見逃してしまっていたマルコ・ベロッキオ監督『眠れる美女』を、爆音映画祭さんが上映してくれるというので丁度よかったと見に行ってみたけど、これは爆音&バウスシアターの35ミリでの初体験が最高のように思う。震えるくらい面白かった。
イタリアで実際に起こったという、17年間昏睡状態の女性の尊厳死を巡る政治的宗教的問題を中心に、祈る女と自殺しようとする女と恋する女の物語がひたすらスリリングに進んでいく。その三人の関係とか周りの人間の詳しいことはわからないのにとにかくドキドキさせられっぱなしで、サスベンスってのはこういう映画のことをいうんだよと昨日の監督さんに教えてあげたい。でも、病院でパニック起こり過ぎとか、役者の父親に対して辛口過ぎる息子とか、笑えるところもあるのが更にすごい。水をぶっかけられたうえやり逃げされたマリアちゃんがポール・ダノばりに不憫ではあったけど。
じゃじゃーんと大袈裟に流れては突然静かになる音楽、iPhoneの着信音、鐘の音、もちろん普通の状態でもいいんだろうけどこれが爆音で聴こえるたび、これしか有り得ないと思える迫力。そして大きいスクリーンにフィルムで映るイタリアの夜の闇が渋いこと。だからこそ夜明けに希望のある話なのが泣ける。いちいちのカットがかっこよ過ぎて、他の監督にならちょっとかっこつけ過ぎなんじゃないのと文句言いたくなるところだけど、ベロッキオだからいいの。本当にかっこいいから。
こういう映画に全然人が来てくれないから映画館が潰れるんだよーと樋口社長が愚痴ってらっしゃいましたが、そうなんだろうなあ。