BLOG

6.09

『ぼくたちの家族』

石井裕也監督『ぼくたちの家族』 を見ながら、撮影や照明に大変細やかに気を遣って作られた映画なんだろうなとは思ったんだけど、いかんせん、登場する男たちがあまりにも情けないしだらしないしメンタル弱過ぎるしで、84年生まれの男性監督さんが80年生まれの男の子を主人公に描いたこのぼくたちの世界が現実なうだとすると(マーク・ウェブは74年生まれってか)、だいぶ気が重い。
いわゆる平凡な核家族、ひきこもりだったという黒歴史を抱えつつも今は身重の妻を持つまともな兄、ちゃらちゃらした大学生の弟、小さな会社を経営する父、彼らのすべてを包み込む優しい母が脳腫瘍を患ったことで、壊れかけてた一家に変化が、って、お前ら女が癌にでもならなまともに生きることもできひんのかよ、ってね。 そのイライラを完璧に体現してくれた妻夫木の煮え切らない演技はある意味大成功なのか。ボケた母親に冷たくされたくらいで落ち込むって、すごいよね。
悪者を作るにしても、登場する医者が酷過ぎるし、どうしようもない男像だとしても、長塚京三演じる父親が最低過ぎるし(でも全然否定はされてない)、これは黒川芽以が可哀相。お気に入りの池松壮亮くんはやっぱり可愛かったけど、私がこの兄弟に会ったらとりあえずふたりとも前髪切れって説教する。