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6.11

『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』

さほど映画と60年代のフォーク音楽に興味がなくても猫好きのあなたにはオススメ、コーエン兄弟最新作『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』 。サービスデーだからか平日の夕方ほぼ満席。
60年代のニューヨークを、カネも家も仕事もない自称ミュージシャンのだらしない男が、右手にギター、左手に猫を抱えてあてもなくぶらぶらしてるだけの姿は、今作が最後のコーエン兄弟フィルム作品だそうだが、中々美しい。またこの猫ちゃんが美猫でね。地下鉄の車窓に映る名もなき猫の映画(でも絶対ウチの猫たちを電車なんかに乗せた日にゃ大暴れするだろうに、よくこんな大人しい芝居ができる猫がいるもんだと感心しきり)。
主人公の男は、実在した有名な人がモデルらしいが(最後に映るのがボブ・ディランだったとか、気付かれへんし)全然知らんし、何度も女を中絶させてるらしかったり、酔うとすぐキレて結構酷いことをしたりするしで本当のろくでなしにしか見えない。最終的に彼が成功するわけでなく、女や家族と和解するわけでもないんだけど、情けない男の人生がレコードのようにぐるぐる回る。
主演の俳優さんはまだ新人らしいけど、ジョン・グッドマンとかジャスティン・ティンバーレイクとか、周りの役者がやたら豪華。キャリー・マリガンは、大作系のヒロインよりもこういう地味な女を演じるのがやっぱり一番向いてると思った。