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7.04

『アクト・オブ・キリング』

めちゃくちゃ出遅れたけどようやくジョシュア・オッペンハイマー監督『アクト・オブ・キリング』 を拝見。いろんな映画祭で受賞してたり、上映からだいぶ経ってるというのに今日も平日のレイトショーに8割以上の客入りだしで、どんな面白い映画なんだとかなり期待していたものの、途中から「ちょっと待って、マジおもんない……」という思いで胸がいっぱいに。
60年代のインドネシアの軍事政権下で民兵によって行われたという共産党員に対する大量虐殺、まだ健在なその実行者たちに当時の様子を再演させてみるというドキュメンタリー。確かに、こんなおぞましい歴史と、主人公の悪魔みたいなおっさんが存在するんだということを知れたのはよかったし、映画がどんなに頑張ってもこの本人以上に面白いもを作るのは不可能だと思うんだけど、それにしてもこれは酷い。中途半端にドラマチックな演出がダサ過ぎるし(選挙に負けたあとのカットとか)、何より、殺人者が自分の行いを演じてみせることでだんだんと自らの行いを反省し、罪悪感を抱き始め、こんなやつだって実は人間だったみたいな物語へもっていこうとするのが許せなかった。知るかよそんなこと、映画でそんなものを見て安心したいわけじゃないし、むしろこの映画を被害者の子孫とかが見たら本気で怒るんじゃないの。倫理とは被写体との距離であるとベロッキオ先生がおっしゃっておりました。極悪人のくせにやたらとノリよく女装したり踊ったりしてるデブ野郎のファニーさだけがちょっと救いだった。