『ほとりの朔子』
めっっちゃくちゃ出遅れたけど、実は数週間前池袋で再上映されていた深田晃司監督『ほとりの朔子』(14年)をようやく見たりしてたのでした。
浪人生が田舎で過ごす夏の数日間の物語、日本のロメール、と評判の高いらしいこの作品、確かに公開からだいぶ経っているのになかなかの客入りで、人気なんだなってことはわかったんだけど、どうも私には「??」と思う部分が多過ぎて、今イチ乗り切れず、無念。
例えば、冒頭、水帆(渡辺真紀子)がなくしたパスポートを縁側の外でカバンを漁って探しているのを見て「なんでわざわざ外で探すんだ?」となり、続いて、二階の部屋でパスポートを見つけた兎吉(古館寛治)が一階に向けて放り投げるのを見て「あとで普通に手渡せばよくね?」ってこととか、朔子(二階堂ふみ)と海希子(鶴田真由)が海岸を歩いていると知り合いの辰子(杉野希妃)がダッシュで急接近してくるところでは「知り合いを見つけたら普通は先に一声かけてから近寄ってくるんじゃね?(いきなりあんな勢いで来られたら怖いやろ)」ってこととか、他にも色々そういう細部が気になってしまって。あと、真夏の設定なのに誰も汗をかいてなくて、全然暑そうに見えないのも最後まで?だった。(あと、やっぱり、ふみちゃんの衣装もねえ)。
例えば、ロメールの映画を見ていると一見どうでもいい会話風景にいつのまにか引き込まれハッとする瞬間があるように思うのだけど、この作品は、ハッとさせようという色気が先走り、どうもその帳尻会わせに会話風景を作っているようにしか見えなかったというか(だからそれからのキメキメな「ほとりの朔子」シーンが全然感動できない)。
それでも、後半に進むにつれ、変化していく人間関係は素直に面白く、原発に対するアプローチなんかは個人的に感心したり、これはちょっと前半がもったいないなあとは思いました。