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9.17

『水の声を聞く』

過去の作品をぼんやりとしか見てないもので、予告を見て、スピリチュアルに目覚めた系だったらイヤだな…と若干の不安を抱えながら山本政志監督『水の声を聞く』 を鑑賞してみたら、まったくそんな心配は必要なく、怖くて感動できる、素敵な映画だったのでした。
水の神の声を聞いて悩める人々の心を救う、という怪しげな新興宗教の教祖らしき若くて美しい在日朝鮮人の女の子。インチキ巫女を適当に務めている間にだんだんと自分自身や祖国(韓国済州島)と向き合いはじめるも、同時に、ろくでなしの父親や金目当てのスタッフたちが不穏な動きを見せはじめ。
見ながら、私の周りにいる在日ババアたちはこんなにお上品じゃない…、という思いは拭えなかったものの、ハンメとオモニと孫に繋がる歴史を体現するかのような主演の玄里がとても良く、いろいろと説得力があった。と同時に渋谷のヤクザの説得力もハンパなく、だいぶ怖かった(黒人をボコる日本人ってあんまり見ないよな)。そういう、精神的なものとヤバいもののバランスが大人な映画とでも言うか。DJ教祖には笑った。かなり丁寧に演出されたカメラもよかったな。
うちのハンメは熱心なお嬢のファンだったので、唐突にエンディングの曲が流れたときはかなりどきっとした。