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10.20

『ファーナス 訣別の朝』

わたしゃこの監督の前作『クレイジー・ハート』が好きでねえ、かなり期待してスコット・クーパー監督『ファーナス 訣別の朝』 を見に行ったのですよ。全然話題になってないけど豪華キャストにプロデューサーはディカプリオだったりする。
デッド感むんむんの工場地帯で地味に生きる兄弟、貧困や事故に見舞われてなかなか上手くいかない人生、そこから抜け出そうとすればするほど歯車が狂っていく…、という映画自体は悪くない。全然悪くないんだけど、ものすごいあと一歩感。古き良きアメリカ映画を真面目に作ろうとしてる感じはものすごく伝わって、それはいいと思ったんだけど、ふたりに付きまとうイラク戦争やアメリカ地域社会の闇の深さが、どうも、頭で考え出した脚本である以上のものが感じられず。内容的にちょっと欲張り過ぎたのかしら。足の指の股に注射してラリるウディ・ハレルソンの狂った悪さっぷりもかなり空回り、単にキレやすいヤク中にしか見えなかった。そんな中、出所後の兄と元カノの再会のシーンだけは、言葉にできない切なさが伝わってつい涙してしまった。
しかし相変わらず渋い音楽はかっこよく、マサノブ・タカヤナギのカメラもやっぱりいいなと思ったので、辛うじて次回作も期待する。