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12.16

『三里塚に生きる』

早く見たいと思っていた大津幸四郎監督『三里塚に生きる』 が、本当に素晴らしかったので、今作が遺作になってしまったことが今さら多いに悔やまれる。
あの三里塚を舞台に、現在再びあのカメラマンが監督としてカメラを向けるドキュメンタリー。今でも成田空港近くに住み続け「問題はまだ何も解決していない」と話すおじさん、「闘争っつっても裏も表もあるよ」と苦笑いするおじさん。60年代当時もんぺ姿で機動隊と戦っているときの自分の映像をパソコンの画面で見つめるおばあさん。特に説明的なナレーションがあるわけでもないのに、なんかもう、見ながら動悸息切れ起こしそうになった。忘れかけた頃に響き出す大友良英による音楽も良かった。
半分以上なくなったあの鉄塔の真横を飛ぶ飛行機、インタビュー中にも遠慮なく響く飛行機の轟音、冗談みたいな映像が淡々と撮られていく現在の現実と、連行されていくよねおばあさんを撮っていた過去の現実が、恐ろしいけどこんな凄い映画になるって、いやはや。
見ながら驚いたことは色々あるけど、かなり衝撃だったのは、60年代当時空港建設に反対していた若者が、現在、みんなやたらとダンディでかっこいいおじさまになってらしたこと。話し方とかもすごくお上品で。「LEON」読んでモテたいとか言ってるじじいはこれ見て勉強すべし。