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2.28

『フォックスキャッチャー』

劇場の環境がだいぶ酷かった(隣の居酒屋の音がダダ漏れ)ものの、映画自体はねっとりじっとり面白かったベネット・ミラー監督『フォックスキャッチャー』。題材になってるレスリングという競技の雰囲気とベネットさんの演出が相まって、これでもかってくらい終始地味なテンション、でも二時間以上飽きはしなかった。PTAみたいな無駄な色気がない感じがよろし。
96年に実際にアメリカで起こった大富豪御曹司によるレスリング金メダリスト射殺事件を元に進んでいく話、と言っても、低所得者丸出しのスポーツ選手が突然謎の金持ちにスポンサーを申し出され、あれよあれよと生活が変化していく様に、最後に何かないわけがないことはわかってるんだけど、何かが起こっているのか起こっていないのか、全然立場が違う主な登場人物たちの三角関係が見えそうで見えないサスペンス。でもあんな豪邸でひとりただ自分を賞賛するだけのドキュメンタリー見てたら誰だって虚無の末に殺人くらいしたくなるわな…。
お気に入りのチャニング・テイタムくんの、ほんと愚鈍なゴリラみたいな存在感も、途中まで誰か気付かなかったマーク・ラファロも、つけ鼻?なスティーヴ・ガレルもみんな素晴らしかったけど、やっぱりあの人が生きてたらあの役はあの人だったのかと思うと残念感は残る。
で、見ながら、やっぱりアメリカってアホみたいに病みまくってるなあと思いつつ、『永遠のゼロ』がアカデミー賞を穫る日本って健全ってよりもほんとにただのアホなんだなと。