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10.10

『ハッピーボイス・キラー』

あのマルジャン・サトラビ監督の最新作と聞くと気になって、作品の内容はほとんど確認せず、『ハッピーボイス・キラー』を見てみた。
小さな田舎町のバスタブ工場に勤める地味で真面目な主人公の青年、ペットのかわゆいワンちゃんとニャンちゃん(性格悪過ぎて笑える)と話が出来るという変わった特徴があるものの、気になる同僚の女の子をデートに誘ったりしてるあいだに、あれよあれよと連続殺人のサイコホラーになっていき、最後は唄って踊って終了。
と書くと相当分裂した映画みたいだけど、事実分裂していて、この監督は前作もそうだったけど、めちゃくちゃポップでキュートなセンスの映像でもって(今回もバスタブ工場の制服とか可愛いの)本当に救いのない世界を見せつけてくる、中々一筋縄ではいかない女性やなと。
でも今作も、一見バカバカしいけど、実は幼少時代の酷過ぎるトラウマにより精神的に不安定になってしまった人間が、無理矢理にでも薬で治療することが正しいのか、ずっと妄想の世界にいることが本人にとって幸せなのか、そのことに誰も答なんて出せないという真摯な姿勢が感じられ、やっぱり次回作もちょっと気になるなと思ってしまいました。普段は苦手なライアン・レイノルズも、こういう情けない役は悪くなかった。