3.19
マノエル・ド・オリヴェイラ
酷い映画を見て荒んだ心を洗わなければと、アテネ・フランセさんで開催中の「永遠のオリヴェイラ」に通い、未見だった作品を数本鑑賞。まとめてメモ。
『フランシスカ』(81年)、166分間すべての映像も音も言葉も完璧としか言いようのない素晴らしさなのに、166分間ひたすらに主人公の男が最低、という、不思議な魅力に満ちた作品でございました。繰り返される台詞とか本当に意味がわからないんだけど、ひたすらに面白い。にしてもフランシスカが不憫過ぎた。
『カニバイシュ』(88年)、前情報を何も持たず、まさかのホラーコメディーミュージカルにはだいぶ驚いたけど、かなり笑えた。ちょっと何が起こってるかわからないなと思ってもいちいち語り部が歌い上げながら説明してくれるから無問題。オリヴェイラさんの笑いのセンス好き。
『ドロウ河』(31年)、22歳に撮られたデビュー作とのこと、そのスピード感とテンションの高さに圧倒。河と労働と牛たちによる美しいフィルムでございました。
『レステロの老人』(14年)、こちらは105歳のときに撮られたという遺作、ポルトガルの歴史とか「ドン・キホーテ」とか全然知らないけど、本が流されおじちゃんたちがダベってるだけでなんかすごいことが起こってると感じさせる、これまた不思議な映画。
諸々上映後、篠崎誠監督&青山真治監督によるレクチャーも拝聴。観客とカメラの距離感と映画と演劇の違いやダニエル・シュミットとの類似性、など。
その後の打ち上げでは、色んな方に生きていることを祝福して頂きました。多謝。