5.12
『台北ストーリー』
こないだのクーリンチェでもじゅううぶん打ちのめされたつもりだったのに、ついでにくらいのノリで見たエドワード・ヤン監督『台北ストーリー』(85年)がこれまた思いっきり両頬に平手打ちのビンタ食らったみたいな衝撃と感動と苦しさで、ちょっともうどうしていいかわからない。
80年代の台湾、街も映画をめぐる状況も加速度的に変化するその世界を見たことも感じたこともないはずなのに、見ながら「もうやめて!」と叫びたくなる痛々しさ、を映画にしてしまっている。決して二枚目じゃないはずのホウ・シャオシェンの妙な色気、女の不自然なサングラス、私も若者と夜の街をバイクでぶっ飛ばしたい。いや万能薬なんてないのよね…。
すべてのシーンが完璧な美しさなのは当然として、やり直しがきかないかもしれないもう若くはない男女の、初めて見るはずの懐かしい映画、だと思います。見るべし。