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5.21

『狐狼の血』

予告を見たときに「ヤクザごっこの学芸会みたいやな」と思った白石和彌監督『狐狼の血』ですけど、実際見たらもっと悪質な、東映のおっさんたちがきゃっきゃとはしゃいで『仁義なき戦い』ごっこをしてるような気持ちの悪い映画でした。この数十年北野武や石井隆がやってきたことはなんだったんだと悲しくなったよ俺は。
役所広司の暑苦しさはまあいいとして、若手刑事の松坂桃李(濡れ場は控えめ)いくらなんでもバカ過ぎないか。話のオチ(これはこれで酷いけれども)を全部誰かにセリフで説明してもらうまで気づけず、とどめに文字で残してもらって、そこで初めて覚醒するって、かわいいからって許されることではない。
あと、いくら昭和が舞台とはいえこの女性キャラの雑な扱いは2018年に有り得ないかと(しかし過去と全く同じ復讐殺人を起こそうとする真木よう子もバカ過ぎるかと)。あと、美人局を美談に回収する感覚も無理。あと、江口のモリタカはないわ。
何回も出てくる「結局みんな保身しか考えてないんだ…」というセリフは、東映を相手にこんな映画を作った監督本人と、会社をかけてこんな映画を作った東映さんにお送りしたい。そりゃ川村元気に負けるわけだわよ。