8.18
『人間機械』
夏になるときまぐれにインド雑貨店なんかにふらりと入って形はシンプルだけど個性的で繊細な布で作られたワンピースなんかをブランド品よりぐっとお値打ち価格で買って「お得な買い物だわ〜」とかって喜んだりするじゃないですか。そういう気分を完全に壊してくれた、ラーフル・ジャイン監督『人間機械』でした。『ダーウィンの悪夢』におけるフィレオフィッシュ恐怖症に続き、インド布もしばらく着れないかも。
インドの巨大な布工場のドキュメンタリー。今まで中国映画なんかで縫製工場の実態は何度か見たことがあったけど、布そのものを作る工程、その薄暗さと不衛生さと労働者たちの死んだ目と、爆音で鳴り響く機械の音(この音は劇場で見た方が絶対いいかと)。人間が機械のように、機械が人間のように、1日12時働く姿が、滑らかに動くカメラに映ると下手すると美しく見えてくるから恐ろしい。美しい絶望、そんなものはない。
合間に挟まれる短いインタビューは、どこの国のどの業界でも上のものはムカつく屁理屈を言うもんなんやなと再確認。嫌あね、と他人事っぽく。