8.27
『ゾンからのメッセージ』
巷で話題の鈴木卓爾監督『ゾンからのメッセージ』をようやく。
空を覆い尽くしその街と外部を分断する謎の現象「ゾン」、「ゾン」の内部で20年間過ごしてきた大人たち、そこで生まれて海や電車を知らずに育ってきた若者たち、果たしてゾンの向こうには何があるのか、ゾンとは何なのか、という謎に満ちた映画。何かに囲われた閉鎖的な場所が舞台でも、間違ってもS・キングみたいな禍々しい世界にはならず、あくまでキュンとする青春ストーリーになるところがさすが古澤健脚本でしょうか。
不穏な空の色(?)以外結局「ゾン」を具体的に表すものは見えないし、日常的な景色の中にも聞こえる不思議な音たち、油断してたらひょっこり現れる監督やスタッフ、と、おかしなことだらけの映画なはずなのに、まったく「全然知らない世界のお話」とは感じられない、リアルなSF。でも映画だから、その世界はどこまでも優しくて、超不自由なはずなのに自由に見える、変な魔法にかけられたような時間でした。この音と映像は劇場で是非。そして、レイトショーを出て地上に出たらとりあえず空見るよね。電車ではなくタクシー乗って帰ったけど。
「Bar 湯」のママさん役の役者さんの声が素敵だった。私が見たときのトークゲストが千葉聡さんで、歌人であり中学校の先生だという千葉さんのおしゃべりがかなりツボだった。