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10.16

『教誨師』

大変真面目でいい映画だったように思う、佐向大監督『教誨師』。どう言っていいのかちょっとわからないけど、こんな映画を初プロデュース作にして遺作にする人生って、ほんとにあるんやね。衝撃のような、納得のような。佐向監督って勝手にもっと若者っぽい映画を作る人のイメージだったけど、そんな感じじゃなかった。
6人の死刑囚との対面を繰り返す大杉漣演じる教誨師(神父さんじゃなくて牧師さんなのね)、密室の中で入れ替わり立ち代り繰り展開する会話劇は、オムニバスってのとは違う、独特の展開を見せる。それぞれ全然違うキャラクターの死刑囚を演じる役者さんたちの芝居が面白く、引き込まれるのはもちろん、やっぱり大杉漣の死がまとわりついたような渾身の教誨師が凄い(実際に大杉漣のお父さんが教誨師をなさってたそうな)。
その大杉漣に応じる6人の役者さんもみなさん良かったんだけど、玉置玲央の映画初出演とは思えぬ落ち着きに驚き、死刑囚唯一の女性はやっぱり大阪弁のおばちゃんなんだな…と納得のような腑に落ちないような。