10.19
『バーバラと心の巨人』
アンダース・ウォルター監督『バーバラと心の巨人』、映画が始まって数分でだいたいの話のオチはわかったし、演出的にも「まあこんなもんか」と極めて冷静に見てたはずなのに、終盤ではボロボロ涙してしまったのは私の心がピュアだからか加齢により涙もろくなってるのかバーバラちゃんの姿に心打たれずにはいられなかったからなのか。ガキの妄想だと笑って済ませられない何かがあったような気のせいなような。
うさぎ耳をつけていつか町を襲いにくる「巨人」に備えてひとり孤軍奮闘するバーバラ、もちろん学校でも家でも浮きまくってクレイジー扱い。しかしそんなことにはおかまいなしに、やっと仲良くなった転校生やカウンセラーの助言も無視して突き進むその先に現れる「巨人」とは…。製作はクリス・コロンバスなのね(ハリポの監督ってより『グレムリン』の脚本家と言いたい)。
辛すぎる現実に対して子どもがとれる行動って限られてるし、子どもにとってはそれも現実だし、そんなやっかいな敵に諦めず戦いを挑むバーバラちゃんの姿はかつての誰かを思い出させ、がんばれ!と願わずにはいられなかったのでした。バーバラちゃんの可愛いけど第二次性徴感全開のドンくさい体型も映画全体の洗練しきれない感じとマッチしてた。ものすごく「小さな」世界を描いてるのに対し音楽が壮大過ぎてちょっと冷めたか。
しかしここまで男性性というか男性という存在がない世界(「巨人」が男性=父とも考えられるが)、徹底してて面白いけどどういう意図なのかちょっと知りたい。