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11.13

『13回の新月のある年に』

天気の良い日曜の昼下がりに見に行ったらほぼ満席だったけど、絶対にそんな映画なじゃいよねライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督『13回の新月のある年に』(78年)。
7年おきに来る「太陰年」に新月が13回廻る年が重なるとなす術もなく破滅する者が幾人も現れるーー、と冒頭字幕で説明されるも、ファスビンダーの映画ってだいたいそういう人が現れてね?と思ってしまったのだが、確かに今作の破滅っぷりはなかなか激しかった。
男性から女性に性転換した主人公エルヴィラ、街では男たちにボコられ、同棲相手には容赦なく罵倒され、幼少期を過ごした修道院のシスターにはめちゃくちゃブルーな過去を暴露され、その間にワイズマン『肉』よりもハードな屠殺場見学、通りすがりに自殺するおじさん、ドイツのおかまってこんなに過酷なのかと身震いするほど絶望的に孤独で哀しい時間。何回も声出して笑ったけど、最終的にはだいぶ凹んだ。もちろん大変面白いんですけど。退屈なようで刺激的なようでぶっ飛んでるようで冷静なような、不思議な映画でございました。
「(男が男を買うより)女が男を買う方が悲惨よ」というセリフにドキッとした。