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11.18

『生きてるだけで、愛。』

演劇も小説も触れたことないのに完全なイメージで「原作は本谷有希子か…」とややゲンナリしながら関根光才監督『生きてるだけで、愛。』を見たのだが、ストーリーとか演出とかほんとどうでもいいと思ってしまうくらい、主人公を演じる趣里の姿が印象的であった。
メンタルに問題を抱え家事もバイトもロクにこなせず薬の副作用による過眠症で一日中寝ている寧子と、彼女と同棲しながらも特に助けることも怒ることもしない津奈木。
躁鬱による情緒不安定な女を演じる趣里の、なんというか、蒼井優が演じがちな(男が)守ってあげたくなる系メンヘラとは一線を画しまくるヤバさ、繊細さとか儚さという言葉がバカバカしくなる、「躁鬱病の人って本当に大変なんだな…(できれば関わりたくないな…)」とぞっとするような振る舞いの深刻さが凄いのよ。以前から好きだったけど、こんなことできる女優さんだったんだと感服致しました。菅田将暉演じる恋人の、イマドキっぽい無能さも良かったけどね。
正直、映画としてとても優れているかはよくわからないけど、こういう本気でヤバい人を絶妙な距離感で捉える姿勢には好感を抱きました(仲里依紗のよくわからん存在とかも含め)。