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3.02

『金子文子と朴烈』

ほんとごめんなさいこの二人の存在を、イ・ジュンイク監督『金子文子と朴烈(パク・ヨル)』を見るまで名前すら知らなくて日本人としても元韓国人としても色々ダメすぎるが、映画のおかげで少し賢くなれました。
冒頭の数シーンで「あ、軽いコメディタッチな感じ?」と思ったら全然違って、1923年の東京で出会った朝鮮人社会主義者の朴烈と日本人アナーキストの金子文子は恋に落ちるも、関東大震災の朝鮮人虐殺デマに巻き込まれふたりとも囚われるが、死刑覚悟で大日本帝国に立ち向かう。
という映画が、キャストはほとんど韓国人、言葉は日本語で作られているのだが、こういうものが日本で作られたらちょっとは見直すのに…と思ったけど、叶わぬ夢か。
震災後わらわらと湧いてくる自警団の醜いこと恐ろしいこと。そしてぺらぺらとヘイトデマを流す内務大臣のうっとおしさよ(キム・インウを在日界のピエール瀧と呼びたい)。それにひきかえ、金子文子演じるチェ・ヒソの美しさよ。流暢な日本語も素晴らしかったけど、可愛らしくて力強くて、彼女を見たらネトウヨも改心するんじゃないかな。それぐらい魅力的。朴役のイ・ジェフンももちろん良かったけど。
文子と朴烈が強烈に惹かれあったのはわかるけど、それが激しいセックスシーンとかに繋がるわけでなく、本当に「同志」って感じが清々しくて気持ち良かった。
途中ちょっと取り調べのやりとりが単調かなと思ったりしなくもなかったけど、とても正しく、小池百合子を拉致してでも見せてやりたい。