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3.05

『半世界』

稲垣吾郎効果とはいえ新宿のシネコンがほぼ満席なのに上映期間短過ぎないか、阪本順治監督『半世界』。吾郎ちゃんファンにもこの面白さ伝わるといいけど。
小さな地方都市で炭を焼きながら地味に暮らすダメ男39歳妻と子ども有りが、久しぶりに再会した元自衛官の同級生たちや反抗期でイジメにあってるらしい息子と向き合おうとする物語。ああ、今回はこういうこじんまりした系なのねと思ってたら、いきなりハセヒロのめっちゃキレのあるアクションややたらかっこいいカット割におおさすがと感動。『団地』の薬作りに続いて、今回も吾郎ちゃんの微妙にたどたどしい丁寧な炭作りが美しい。ああいうモノづくりはずっと見てても飽きないね。
39歳という自分と同年代の主人公たちが生きる「半世界」の狭さと広さにうろたえながらも、「監督ええ人やな〜」としみじみしかけたところに、なかなか衝撃の結末でびっくりしたけど(伏線には全く気づけなかった…)、吾郎ちゃんが途中で成長するとかではなく、最初から最後まで結構ぐだぐだした奴だったってのが憎めなくて泣ける。いじめっ子のサングラスも泣ける。
大阪弁を話さない池脇千鶴も暴走し過ぎない石橋蓮司、みんな生き生きと楽しそうで見てるこっちまでにこにこ。で、ラストのボクシングには声を出して笑った。