9.02
『東京干潟』
最終日らしいし一応見ておくかと軽い気持ちで、村上浩康監督『東京干潟』を見てみたら、これが近年稀に見る最高な猫メンタリーで、素晴らしかった。外国の野良猫をいい感じに撮影してるだけのTV番組の何百倍も猫愛を感じられます。
羽田空港すぐ近くの多摩川の干潟で素手でシジミ漁をしながら生計を立て、十数匹の野良猫たちを養っているシジミのおじいちゃんの生活に密着したドキュメンタリー。たまに鳶。
まず、多摩川にこんな場所があることも初めて知ったし、こんな風に生活してる人の存在も初めて知ったので、そのことだけでも衝撃だったんだけど(飛行機の行き交う目の前で老人がひとり漁をしてる映像はなかなかシュール)、だんだんとわかってくるこのおじいちゃんのにゃんこに対する感動的な愛の深さ、人生の悲喜こもごもの複雑さ、オリンピックのバカバカしさ。猫とシジミの生きる権利のために生きる今が一番幸せだと話すその姿は神々しくすら見えてくる。
監督がひとりカメラ片手に誠実に映画を作っているのも伝わってきて、過去の監督作を見逃したのは痛恨のミス。冬に再上映希望。
映画のラストカットが、「え、おじいちゃんこの後どうなったの…」とちょっと不安になる感じだったのだが、上映後元気なお姿で舞台挨拶に登場してらして、えがったえがった。