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11.14

『マチネの終わりに』

結構前に原作小説を読んでいたでこの映画化の話を聞いたときは「おおイメージ通り完璧な布陣やな」と楽しみにしていた、西谷弘監督『マチネの終わりに』。と言ってもこんな文学的且つ音楽が重要な小説を映画化するのはなかなか難しいこととは思ってましたので、ロマンティックに愛を語り合っても、「日本人がフランスで何やっとんねん」と半笑い感は終始拭えなかったものの、嫌いにはなれない生真面目さは相変わらず。
福山雅治演じる世界的に人気なクラシックギタリストと石田ゆり子演じるパリを拠点に活動するジャーナリストの運命に翻弄される大人の恋愛、という、中年の夢と妄想のつまった物語となっております。全体的にはざっくり言うとアンジャッシュのコントみたいな話です。
ふたりは映画の中で三度しか顔を合わさない設定にもかかわらず、西谷先生はたっぷりこってりそのやりとりを見せてくれます。この味付けは『昼顔』の悪影響な気がする。
パリを舞台にしたテロに関する描写(事件現場や現場の追悼シーンの凄さはさすが『アマルフィ』で海外ロケをこなした先生だけあって、本当に感心した)は冴えまくり。ゆり子にめっちゃフランス語喋らせてるのもよかった。伊勢谷のキャラには笑った。
ただ、最終的に「数年後」という設定なのに映画の中で主要キャラのビジュアルが1ミリも変わってないのはさすがに辛いか。あと、これは原作読んだときから思ってたけど、「メールじゃなくてさっさと電話しろよ」という突っ込みは野暮なのかしら…。