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2.05

『ラストレター』

日曜の午後にほぼ満席でめっちゃびびってたらサービスデーだったとあとで気づいたんですけど、監督も別に天王寺の観客に見て欲しかったわけじゃなかろう、岩井俊二監督『ラストレター』。それなりに楽しんだ。
やたらと入り組んだ現代と過去を行ききするプロット、これをロマンチックと見るかド変態と見るか。
劇中には遺影としてしか現れない「実咲」という女性を巡って、登場人物が全員「実咲」にとりつかれたように「んなアホな!」みたいなすれ違いと勘違いを繰り返す物語だが、監督自身が『LoveLetter』(95年)にとりつかれ過ぎなんじゃないのと思いたくなる突然のミポリンとトヨエツの登場や図書室の景色(それに森七菜って女の子、酒井美紀に似過ぎじゃない?)。今回の福山も高校時代の好きな人にとりつかれて数十年、未だ彼女のことを思ってるって(あんな本まで書いて、よく恥ずかしげもなく同窓会行けたなコイツ)冷静に考えたら相当にヤベー奴やし、こんなことを嬉々としてやる監督がどこまで本気(の変態)なのか、川村元気の思う壺なのか、イマイチ判断が難しい… のだが、劇中に登場する男たちが全員文句なく最低野郎(いきなり大型犬の世話を命ずるモラハラの夫、DVの元夫、ストーカーの元カレ)なのは、全部計算ずくってことなのかしらん。逆にこれが素だったらアタオカ過ぎるか。
しかし2020年に堂々と「眩しい光と雨に濡れるワンピースの少女たち」をやるおっさんの執着心には感心しながら、呆れた。ボルゾイは可愛い。