BLOG

3.07

『スウィング・キッズ』

「戦争とデヴィッド・ボウイ」というお題なら、『ジョジョ・ラビット』なんかより俄然こちらをオススメしたい、カン・ヒョンチョル監督『スウィング・キッズ』。『サニー』の監督の新作なのか一応見とくかと軽い気持ちで見てみたら、途中からギャン泣きが止まらずやばかった。もちろん『パラサイト』よりも推し。見て。
1951年朝鮮戦争の最中、コジェ捕虜収容所に集まった米軍、黒人兵、南と北、男と女、激しく分断された人々の中に生まれたタップダンスへの情熱とドラマ。こんなヘビーなテーマなわりに、前半はこの監督特有の、すっごい微妙なギャグセンスでぐいぐい押してくるから、「お、おう。こんな感じか」と若干引き気味で構えるも、明らかにスイッチが入ったボウイ(カバーやけど)が流れた瞬間から、「こんなんズルいわ!」と言いながら最後まで号泣。構造的には自分の力ではどうにもならない時代の中でダンスだけが違う時間を作ってくれるという『サニー』と同じお話なんだけど、さらに一歩進んでて、いやあなかなか凄かった。
主人公ギス役のD.O.君、超人気韓流アイドルらしいが、まずそんな立場のタレントが北側の英雄を演じるってだけでも感心するし、さすが人気スターな華麗なダンスも本気で見惚れる。パンパン役のヤン・パンネちゃんも、これからガンガン活躍しそうな予感。
韓国映画と日本映画を比較してどうこう言うのは趣味じゃないけど、さすがにこれは日本では絶対作れないだろうし、作れない理由を考えて欲しい。