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7.23

『カセットテープ・ダイアリーズ』

名作と名高い『ベッカムに恋して』は未見なんだけど、グリンダ・チャーダ監督『カセットテープ・ダイアリーズ』を見た。なんか良かった。
87年イギリスの地方、パキスタン移民の青年は思春期をこじらせ保守的な父親に反抗し音楽と詩と恋に目覚め成長していく、というなかなかの今更感な物語(実話)が、グサッと胸に刺さったのは、主人公の青臭い生活の真横に移民ヘイトが普通に存在し、それも含めての青春映画になっているからでしょうか。2020年の日本とほとんど同じ。
この映画のノリがすごく不思議で、80年代のカルチャーを描きながら、作品自体も80年代のなんとも言えない野暮ったさを体現してて、ミュージカル風モブシーンなんて逆に新鮮なくらいのダサさなんだけど、そのぬるい幸福感はあっというまにヘイトデモに遮られる(そのデモ自体もそんな深刻っぽく語られるわけでもなく、あくまでも町の一部としてある感じ)。そのバランス感覚はやっぱり監督(女性)自身がインド系移民だから出来たのかなあと。こういう映画あんまり見たことない気がする。
しかし最近十代の反抗期を描いたドラマを見ても、すっかり親目線で感動するようになってきましてね。幼馴染の父親がサイコー過ぎて、とあるシーンでは思わず「あ!」と声が出てしまった。あと、運命のカセットテープを貸してくれた同胞の友だちが謎に良い奴過ぎて泣けた。
そして実は、作中で神のように扱われているブルース・スプリングスティーンさんの音楽を私が全然知らないって言うね…。ごめん。