『はちどり』
やっと会えたね…(一度ナナゲイさん満席で入れなかった)、キム・ボラ監督『はちどり』をようやく。前評判に違わず素敵な映画で満足でございました。
ただ、81年生まれで私と2歳しか変わらない女性監督が描く女子中学生の姿が、ほんとーーに「94年14歳の女の子ってソウルでも大阪でも韓国人でも在日でもやることが同じなんやな!」とびっくりするほどそっくりで、先公に悪態ついたり、イキって夜遊びしてタバコ吸ったり、親友と大げんかしたり、同性に恋愛とも友情ともつかない気持ちを抱いたり(彼氏はいなかったけれど)、へらへらと万引きしたり(万引きは小学生で卒業派だったけれど)、この世のすべてにムカついて地団駄踏んだり、でもどうしようもないクソな世界(子どもにとっては家族と学校)にはただじっと我慢してそれが過ぎ去るのを待つしかなかったり、自分の記憶かな?と思うほどのその姿をまだあんまり冷静に映画として考えられる余裕がないってのが正直な感想でしょうか(もちろんあんな透明感お化けみたいなビジュアルでもなかったけれど…)。
しかしこれまでの日本映画あるあるの、14歳女子の神格化、異様にキラキラしてたり、逆に無駄に残酷だったり、呆れるほどアホだったり、それただの監督(おっさん)の願望でしょ(ミソジニーでしょ、とも言う)としか言いようのない気持ち悪さとは次元の違うキム監督(大人の女性)のウニちゃんへのまなざし、お母さんと塾の先生の存在を通して伝わる静かで強靭な思い、ただ淡々としてると見せかけて決してそうではない構成、その感動的な聡明さは、残念だけど当然の帰結として現在の日本では生まれないだろうなあと思わざるを得ないのであった。次回作が楽しみで仕方ない。
メモ、『はちどり』では「家父長制」の父の涙と、韓国ドラマ「応答せよ1988」(大傑作)では仮面を脱げない父の感動の涙、この6年で何がそんなに変わったのか。