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3.06

『ヤクザと家族 The Family』

デッドな町で単車を乗り回す金髪の綾野剛くんはK-POPアイドルにも通ずる、繊細な凶暴さと刹那な美しさがあっていいですね。ポン・ジュノが一目置いたと言うのも納得できます。なので、今作の磯村勇斗くんには久しぶりにワクワクするほどの可能性を感じました。ジルベールは半グレってもジルベールだった!ファンミ行きたい。
で、藤井道人監督 『ヤクザと家族』ですけど、あらゆる意味で良くも悪くもきわめて現代的なヤクザ映画って感じで、これはこれでいいんじゃないのと思いながら見てました。劇中のでしつこいくらい繰り返される「時代は変わったんだ」というセリフ通り、2021年に東映ヤクザものを再現するのは絶対違うし。私なりの褒め言葉なんですけど、内容の薄さと映画としての薄さのバランスが丁度いい、変に気取ってない素直な映画。
後半、いくらなんでも時代が変わり過ぎてみんなが落ちぶれていく様に、「さすがに綾野くんまで覇気失い過ぎじゃいの…」と思ったけれど、でも現実は実際こんなもんなのかな。辛いな。せめて牡蠣の密漁とかがいいな。舘ひろしがひとりだけあぶ刑事のタカみたいな芝居だったな。やっぱり菅田俊は声ガラガラ過ぎて何言ってるかわからなかったな。
監督の前作『新聞記者』のときと同様、圧倒的な取材力には感心した。そしてこれも前作からと同じなんだけど、ちょいちょいカメラを斜めにする演出はやめた方がいい気がするぞえ。