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3.14

『あのこは貴族』

苦手な女優と苦手な原作の映画をわざわざ見に行く気はなかったのですがネットを見てるとあまりの絶賛の嵐にちょっと気になってやっぱり行ってみた、岨手由貴子監督『あのこは貴族』
内容的には「日本人貴族がなんかごちゃごちゃ言うとるな」としか言えないんですけど、演出的脚本的には極めて可もなく不可もなく、めちゃくちゃ「普通」。ってかこれが「普通」じゃなきゃヤバイでしょ日本映画。ほんでこれを「大傑作!」とか大絶賛してる人たち(特に男)、君たちがこの監督を殺すんだよ。いい加減気付けよ。
なので特に不愉快にもならず安定した気持ちで見れたのですが、ひとつめっちゃ引っ掛かったのが、この石橋静河のキャラ、めちゃくちゃウザくない?友だちの超個人的な問題に下世話に介入してきてワケ知り顔で勝手に持論を展開する女(修羅場になったらどうするつもりやってん)、私がこの場にいてたら絶対コーヒー(かアールグレイ)ぶっかけるわ。
なんてね。それでも一応元在日貴族として感じたこともあって、『花束〜』を見たときと同じ、本当にこの国は貧しくなったんだなあとさすがにちょっと辛かった。希子とリオの「みんなの憧れで出来ている幻の東京」というセリフに、ああもう言い切っちゃうんだ、この街には夢も希望も本当にないんだ…としんみりしてたら、とどめにあの東京タワー。私、あんなにかっこよくない東京タワー初めて見た。切ないね。
でもそういう東京の姿を、バカ写真家監督みたくキラキラインスタ映えに見せるわけでも、理解者ぶって貧困者搾取にするわけでもなく、極めて冷静な距離感で捉えている監督の視線は肯定的な意味で現代的で、良いなと思いました。門脇麦はいくらなんでも白塗りが過ぎるんじゃないかと思いました。このラストにはだいぶ「??」となりました。