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4.05

『夏時間』

ひっさしぶりに渋谷の映画館で、ユン・ダンビ監督『夏時間』。90年生まれの女性監督とのこと、素敵ですね。
何かしら事情があるっぽい父子家庭の一家がそれまで疎遠だった祖父の家で夏休みを過ごすことに。10代の少女(姉)の視線を通したひと夏の記憶の記録。
こういう、画面から夏の湿気が漂ってきそうな空気や家族の誕生日やささやかな食事、寡黙なおじいちゃんなんかは、どちらかというと今までは台湾映画で見かけることが多かったような「何もなさ」が丁寧に描かれている韓国映画ってのも珍しいんじゃなかろうか。もちろん確実に何かはあるんだけれど。そういう意味で『はちどり』と全然違うと思うけど。
舞台となるハラボジの家、一家が越したてのときは、整理整頓されてない大量の荷物が誰にも手入れされてない乱雑さ、汚れた水回り他に「私ならこの家住めって言われても絶対無理かも…」と思ったけれど(まあまあ潔癖なもんで)、みんなが生活し始めるとあら不思議、一気に人間と同時に家も活き始めたのがわかって、あの家に存在したハラボジとハンメの時間、音楽で喚起される記憶、それらと同時に在る孫たちの夏。ウチのハラボジん家(ち)はぼっとん便所(汲み取り式って言うのか!)で怖かったなとか。
ひょうきんものでいい子な弟ちゃんがたいそう可愛かった。プロフィールを見ると「愛の不時着」に出演とあるけど、北朝鮮の村の子どもかな?