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8.10

『少年の君』

デレク・ツァン監督『少年の君』(中国/香港映画)、こんなにも過剰にロマンティック!&ドラマティック!!な映画も初めてなんじゃないかってくらいにロマンティック!&ドラマティック!!だった。何気ない日常のカットとかひとつもなかったんじゃないかなってくらいに突っ走ってた。で、それがつまらないかって言うと決してそうではなくかなりグッときたんだけど、じゃあお薦めかって聞かれるといや別に…とモゴモゴしてしまう、困った映画。
猛烈な受験戦争、繰り返されるいじめ、貧困問題、そして一生に一度のピュアな恋…、これ全部ギュッと一本の映画に、余すところなく詰め込んでる濃縮タイプなんだけど、そのひとつひとつにちゃんと説得力があって、普通に引き込まれる。中国のお話と考えたときの切実さも伴って。お母さん結構エグい。
主演の不良少年(菅田将暉似のイケメン、中国のスーパーアイドルらしい)と優等生少女(こちらも人気女優らしいが年齢不詳過ぎる)もやたらと良くて、この二人がお互いを必要としあう描写がなかなか泣ける。うざ過ぎてどうしようかと思った若手刑事も最終的には納得か。
こんな熱くて真っ直ぐな映画を撮った監督は79年生まれと私とタメ、あれこれ日本の映画や小説の影響は感じるものの、よく捻くれもせず下手に格好もつけず、いきなりド直球勝負とはなかなか興味深い他の作品も見てみたいかも。