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11.06

『アワーフレンド』

どんなお話かマジでまっったく知らずになんとなくガブリエラ・カウパースウェイト監督『Our Friendアワー・フレンド』を見に行ったんですがね、これは、子どもがヤンチャな盛りに若くして癌で亡くなったまだまだ若い女性とその家族(夫と娘たち)という具体例を身近で体験した人は、相当覚悟しないと涙腺がエラいことになります。話が読めた瞬間から最後まで泣きっぱなし。
仕事中毒でほとんど家にいない夫マットに、妻ニコルが癌だと告知される前の時間、された後の娘ふたりとの家族の時間、が交差して描かれる中で、二人の親友デインがこの一家を支えるために自分の人生そのもので協力する、いつの間にか一家とデインの時間。
いやーー、特に誰かが泣き叫んだりするわけもなく淡々と流れる家族の時間が「うわああああの人たちもほんまにこんなんやったろうなあああ」と泣きじゃくってる間に迎えるニコルが息を引き取る瞬間の静けさはちょっとリアル過ぎて。現実のときよりも泣き散らかしたかも。
と嗚咽をあげながらも、この、男同士が「あいつは俺の親友だ」と堂々と言う関係ってすごく珍しい気がする。ここにはこの世で一番下らない「男のプライド」的なものが存在しなくて、とってもよろしい。
親友のデインが、自分には野心がない、という現実がしんどくて自殺まで考えるのは、彼が男性であることに大きな関係があるわけで、そこで友だち一家の無邪気な声に命を救われる、彼らは命の恩人なんだから自分も彼らの命を支えないというプライドなんか介在する余地もない直感、一見やり過ぎに見えるデインの献身に非常に説得力があって、よろしい。
めちゃお客さん少なかったしそない話題にもなってないけど、もし「難病もの」というジャンルがあるのなら、正解はこれでいいんじゃないのかと思いました。難病は、みんな疲れるのよ。