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11.15

『老後の資金がありません!』

平日の昼下がりに見に行ったら中高年の男女でいっぱいだった、前田哲監督『老後の資金がありません!』。終始みなさん大いに爆笑してらして、それはそれで素敵な空間であった。良き良き。
持ち家一軒家に住む共働き50代夫婦娘と息子有り、貧しいわけじゃないけど、どっかのボケ政治家が言った「老後の資金には二千万必要」には程遠い貯金額。そこに舅の葬式代、 浪費家の姑との同居、パートの派遣切り、夫の会社の倒産、と次から次へとお金が飛んでいく事態に…。
軽快に進んでいくコメディを芸達者な役者さんたちが楽しそうに演じてるのを見てるだけで、確かに自然と笑ってしまう。特に地味に徹した天海祐希と絶妙にとぼけた松重豊演じる夫婦の距離感、でもふたりとも娘のデキ婚は一瞬で受け入れる、お金についての映画かと思いきやそうじゃないのかと、それだけで伝わってくる感じがスマート。他にも、草苗光子や柴田理恵、友近や毒蝮三太夫、役者の安心感半端なし。
オレオレ詐欺や年金問題に関するドタバタはまあ理解できるんだけど、そこでちょっと天海祐希のキャラが草苗光子演じる姑に心許してるのかお金の問題は別なのかよくわからない部分もあったが、最終的に感動のフィナーレ、草苗さまの歌声まで聴けて(天海祐希とのドュエットまで!)満足満足、と思っていたところに、まさかのラストにひとり「左翼か!」と笑いながらつっこんでしまった。でも「お金がない」という現実からこういう場所に着地する選択肢をふらっと映画を見にきてたおばさんおじさんに提示してみたことは、中々すごいことな気がする。