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1.05

「マイスター・小津安二郎」

ここ2年、18歳で上京して以来に大阪で生活する時間があって、それで改めて「いくら数が減ったとはいえやっぱりいつでもどこかで新作以外の映画が見られる東京ってすごいな」と改めて痛感し、もっとその恩恵をエンジョイしなければ!と、正月早々新文芸坐さんに小走りで向かい、「マイスター・小津安二郎の世界」で、『秋刀魚の味』(62年)と『秋日和』(60年)を15年ぶりくらいにスクリーンで見て腰抜かす。
私が17の時初めて見た小津作品なので思い入れが深いはずの『秋刀魚の味』、こんなにブルーでいたたまれない映画やったっけ!?東野英治郎と杉村春子の父娘とか、マジで正視できひんくらいに辛かったんですけど。そして何度見ても不可解な、なぜ超ブルーなシーンでもバックにはうっすら陽気なミュージックが流れてるのか。怖過ぎる。と同時に、笠智衆ってこんなに可愛かったっけ!?特に岸田今日子の前でのはにかみ笑顔にめちゃ萌えでやばい。まさかこの数十年後に鎌倉で謎のパツキンボディコンねーちゃんの相手をしてるとは本人も思ってないだろうに。
『秋日和』は、やっぱり久しぶりに見る原節子の美しさというか異様さというか、そこに意識のほとんどを持っていかれてしまった。もちろん岡田茉莉子の信じられないキュートさも凄まじかったけど。でもこの役柄としての母親もだいぶ変わり者やと思うねんけど。自分が嫁入り前の娘の重荷になってることくらい気付くやろ普通。
そしておじさま三人組の会話がセクハラ過ぎて笑った。というか、劇中の男性陣の所作が現代の感覚で見るとドン引きレベルでそれも興味深かったですね。
と、最近『東京画』を見たばかりなこともあって、また色々謎と恐怖と感動が深まってしまって、困った。