1.22
『弟とアンドロイドと僕』
いつの間に新作やってんの!と驚きながら阪本順治監督『弟とアンドロイドと僕』を、雪がチラつく中大阪のミニシアターを引き受け過ぎなシネ・リーブルさんに見に行ったんですがね、これがこれが問題作っていうかいや問題やろって感じの映画で、色んな意味でちょっとびっくりした。どうしたどうした。
ここに来てまさかの不条理系映画とでも呼ぶのか、人間(監督自身か)の自己をめぐる物語、なのか。『 GONINサーガ』ばりに劇中ずっと雨が降ってるけど、安藤政信が出てることくらいしか共通点はなかった。
寡黙な豊川えっちゃんがでかい身体を、引きずり、けんけんし、転がりる様や、いきなり怒鳴ったり喚いたりする姿が、笑ってしまうくらいに世界に馴染んでなくて、その孤独がじわじわ伝わってくるし、舞台となる元病院の洋館で起こってしまう不思議だったり厄介だったりするそれぞれは、「変な映画やでしかし…」と半ば呆れながらも結構おもしろく見てたんですよ私だって。いや途中で「お、これは怪しいな大丈夫か」と思った瞬間はあったか、その予感が当たってしまって全然大丈夫じゃなかったですね。
いや今2022年よ!?『ドライブ・マイ・カー』のあのシーンだってダメと言われる時代よ?このラストカットはいくらなんでも無理です。これで孤独が一瞬でも紛れるなら、その孤独しょぼ過ぎでしょ…。