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2.08

『スティルウォーター』

ただ「激しいアクションをするでもない、実は凄腕の暗殺者でもない、冴えないアメリカ人のマット・デイモンに萌えたい」という不純な動機で見に行った、トム・マッカシー監督『スティルウォーター』(誰かもうちょっと立派なHP作ってあげて…)がかなり良かったよ。
フランスはマルセイユの刑務所に無実の罪で収容されている娘を救うため父親はアメリカから単身乗り込み、色々頑張る!みたいな予告は結構な詐欺で、確かに娘はマルセイユの刑務所にいるものの、父親のマットは全然娘に信用されてないし、ネルシャツをジーパンにIN+よれよれキャップ姿でマルセイユの場違いな弁護士事務所に乗り込むも言葉も通じず全然相手にされない彼に出来ることはほとんどなく、「娘を救う!」という思いを胸にいつのまにか親切な子持ちフランス女性と同棲を始め疑似家族のような日常をエンジョイしだす。
その女性が、ブルジョアってわけではないけど舞台女優で文化的且つリベラルな思想を持つフランス人、一方マットは典型的なブルーカラーの肉体労働者でトランプに投票しなかったのは「前科があるから選挙権がなかっただけ」なアメリカ人。そんなカップルの日常、先日ネトフリで見た『ドント・ルック・アップ』を思い出したりしながら興味深く見た。移民差別に「よくあること」と言い切るマットや、フランスの工事現場で不法投棄させられてるマットを。
決して悪い人ではないけれど、良い人間でもない、何のカタルシスもないラストがマット・デイモンにはよく似合う…。