『牛久』
一週間の東京中にダッシュで見た映画メモ、多分普通の人よりは日本の入管施設に対して問題意識を持って関心を抱いてきた私でもそれをこんな風に映像で見せられると本当に衝撃過ぎて声も出なかった、トーマス・アッシュ監督『牛久』。
監督自身が牛久入管の面会室に持ち込んだ隠しカメラで撮影される収容者9名が、刑務所でもないのにアクリル板越しにその施設での非人間的な酷い扱い、終わりの見えない長期収容を訴える姿や、実際に大声で「痛い!死ぬよ!」と訴える無抵抗のひとりの収容者に対して大人数で明らかな暴力行為を行う職員たちの映像(これは入管が撮影した正規の映像。自分たちは間違ったことをしていないという証明のために公開したらしいが、思考回路どうなっとんねんこいつら)を見ると、本当に意味がわからな過ぎて、これが現実なのかと信じられなくて、やばい。狂ってる。
難民申請をしても「証拠がない」と信じてもらえず、何度もここに戻されて苦しい思いをする彼らはしかし、インタビューで誰も「自分の国に戻りたい」とは言わない。辛過ぎる。デニスが妻と再会するシーンでは涙したけど、目に見えてやつれていくアリの姿にも悲し過ぎて涙が出た。
そしてこれを見ながら今さら、そうか同性愛嫌悪の強い国や政府から本気で命の危険を感じたLGBTQの人たちが難民として存在するのかと初めて気づいた。自民党のおっさんとか絶っっっ対理解できないんだろうなあ。キツいなあ。
この映画の「隠し撮り」という手法に対して違和感を感じる人がいたり(個人的には特に問題とは全く思わない)、被写体の方との同意について監督と問題があったとかなかったとか、あんまり詳しいことは知らないんですけど、上映後のトークで喋ってらしたトーマス監督は私より全然敬語が上手な、マジ誠実な方とお見受けしたのでとりあえず仮釈放の人たちを支援するための寄附はした。見てよかった。