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7.11

ホン・サンス×2

やっぱり映画は90分以内に限るなと、ホン・サンス監督『イントロダクション』『あなたの顔の前に』を2本続けて鑑賞してしみじみ思う。
66分というコンパクトさの『イントロダクション』、相変わらず1とか2とか各パートの冒頭にはっきり数字が表示されるもののその順序通りに物語が進んでいるのかいないのか混乱する、狐につままれたような映画であったが、ひとりの青年の家族や恋や将来への不安がしんしんと沁みてきて、ラストシーンの主人公はドワネル君のようであった。
そしてとても85分の作品とは思えぬ濃厚さで、「ホン・サンスがこんな映画を…!」と感動と衝撃に包まれた『あなたの顔の前に』。久しぶりにアメリカから韓国に戻ってきたらしい元女優の主人公ホンオクと妹との久しぶりに会う家族らしい会話や散歩、愛する甥っ子との再会、子どもの頃住んでいた家を訪れ、初対面の映画監督との打ち合わせに向かい、酒を飲みギターを弾く…そのすべてが、もちろん女優イ・ヘヨンの存在がこの映画をそうたらしめてる部分は大きいんだろうけど、大人の!大人の女の映画!それだけで泣きそうになった。BurberryのトレンチコートやCHANELの時計はもちろん、ホンオクの立ち居振る舞い、子供を抱きしめて祈ること、終盤明らかになる事実と雨の中の後ろ姿のシンプルな複雑さ。絶妙に今までのホン監督作と違うなと感じたのは監督が酒をやめたからなのか、キム・ミニがプロダクション・マネージャーとして参加したからなのか。ロリコン大国ニッポンでこんな映画が見られること自体が贅沢なような、素晴らしい映画でございまいした。K枝はこれも100回は見るべし。