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7.28

『リコリス・ピザ』

監督作はもちろん全部見てるし好きな作品も当然あるけれど、個人的には勉強し過ぎた男の子の空回り系映画って印象が強い(ごめんなさいね)ポール・トーマス・アンダーソン監督の最新作『リコリス・ピザ』はしかし、素直に「わああ、すごい!」と感動しっ放しの傑作であった。
70年代のアメリカの風景やこだわりの音楽なんかにはまったく思い入れはないし(ごめんなさいね)、25歳の女性と15歳の男の子が出会って、恋に落ちるまでのもどかしさという甘酸っぱい青春恋物語も今さら興味はない(ごめんなさいね)はずなのに、ただその両方があるだけでこんなに破天荒にロマンティックな映画になるのは何故なのか!?と研究したところ(パンフレット読んだだけ)、本当にただただ私が無知なだけだったんですけど、主演のアラナちゃんは超人気ミュージシャンでこれが初映画出演、怖いくらいにフィリップ・シーモア・ホフマンに似てるなーと思っていたゲイリー君は普通に彼の息子だったんですね…。彼もこれがデビュー作で。
それ以外にもアラナちゃんの家族は本当の家族が演じていてほぼアドリブだったり、この撮影ではヘアメイクが禁止だったり、色々と、ちょっと自由が凄い。PTAさんの、何度かの空回りを経てのこの自由を信頼する扉を開けた勇気が凄い。そしてその多幸感たるや、って感じ。感動。ショーン・ペンには狂った役者がよく似合う。