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9.06

『激怒』

ピュアな中学生の頃から制服姿で通っていたテアトル梅田さん、まさかの今月いっぱいで閉館だそうで、そこで最後に見る作品が新宿の酒場で知り合ったサタンこと高橋ヨシキ初監督作『激怒』とは、時の流れに身を任せてたらおかしなことになるもんだとしみじみしながら、鑑賞。上映前の舞台挨拶で緊張するヨシキ監督が新鮮であった。
怒りだすと見境なく暴力的になる刑事・深間は度重なる不祥事により海外の矯正施設に送られ、数年後無事帰国、刑事として復活するも街はすっかり自警団が取り仕切る「安心・安全」なディストピア、そこで行われている取り締まりという名の惨事を知った深間はかつての怒りを思い出し…、というお話なんだけど、まず私が感動したのは、悪いキッズたちが夜の遊び場にたむろってる場面とか、海外の矯正施設で治療を受けてるシーンとかが、日本映画で初めて見た!ってくらいにちゃちくない。多分低予算だろうに、リアルというか見てて小っ恥ずかしくならないというか。これ結構凄いことやと思うねんけど。
中原昌也と渡邊琢磨による不穏なノイズ(最高)が響く中どこにでもありそうな町をウロつく主人公にじわじわと激怒のスイッチがON、本当に許せない奴らに向かう暴力に次ぐ暴力、凶暴な演出はさすがに超かっこいい。超かっこいいけど、骨ポロリのあたりは怖過ぎて目をつむってしまった…。
そんなクレイジーな暴力刑事でありながら、ふとした表情に真っ当な優しさを感じさせる主演の川瀬陽太が大変良き(メル・ギブソンかなと思ったけど、メル・ギブソンは優しさもクレイジーだった)。
もはやこれが完全なフィクションとも言えなくなってる現実なのがヤバ過ぎてすごいけど、それに対して極めて単純で力強い怒り、憧れの撲殺。共感の映画。