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9.27

『みんなのヴァカンス』

東京で見た映画メモ、ギヨーム・ブラック監督『みんなのヴァカンス』。見ながらずっと「なんでこんなおもしろいんだ?!」と驚きと感動に包まれて。
やんちゃな若者が恋した女の子を追いかけて友だちと田舎のバカンス地へ向かう途中ひょんなことから真面目な青年も同行することになり…と、特に何がどうってわけでもないお話なのに、この3人のしょうもない会話や田舎町のキラキラ光る山や川を眺めてるだけでウルウルくるのは私の心が弱ってるからなのかな…と一瞬思ったけど多分違って、ただ監督の映画を撮る才能なんだろう。何故フランスの女の子の足は棒みたいに真っ直ぐであんなに可愛いのか。
川の中で男たちが乱闘を始める馬鹿らしさに笑っていたら、次のシーンではお互いめっちゃ気遣ってて、みんな優しい。現地で知り合った女性の赤ちゃんをめっちゃ世話して彼女の時間を作ってくれる友だち、優しい。
主人公ふたりが黒人の低所得な若者で、ひとりが金持ち(多分)の白人で、そういう現実をさりげなく、ただの酔っ払いのカラオケで泣かせる。久しぶりに映画に出てくるカラオケが美しい映画でもありました。素晴らしかったです。
こういうモラトリアム系映画って日本にも幾つかあって、「なんで日本ではこんな作品が作れないのかしらん」とぼんやり考えてたら、それこそ「日本のロメール」と呼ばれる某監督はかつて「ロメールは一本も見たことない」と言ってたことを思い出し、すぐに答えは見つかったのであった。