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10.09

『彼女のいない部屋』

わーいマチューの新作やーとそれだけで嬉しく、内容の一切を確認せずにマチュー・アマルリック監督『彼女のいない部屋』を見たら案の定若干の混乱に巻き込まれたけど、まあなんとなくだいたいのことはそれなりに理解しながら鑑賞。
と言っても、話の筋というか構造を理解しただけで、そこで起こっている驚くべき出来事というか事態というか演出が、あまりにもすごくて、監督の頭の中で何がどうなったらこうなるのかは想像もつかない。マチュー、可愛い顔して恐ろしい子。
まあ現実か妄想かなんて映画に対して考えたってしょうがないと言えども、大切な人たちを突然失くした主人公、あれは主人公クラリスの妄想なのかと思ったけど途中でいや死んだ者たちの妄想なのかもしれない、その記憶を処分したとき怒っていた息子は誰の中にいるのか、ピアニストのアルゲリッチの髪色に変わる直前にヘアカラーの色を悩む娘は何を見たんだ、と考えたりもしたけど、まあどっちでもいい。でも私は家族を残して亡くなった姉があんな風に妄想してたらちょっといいなと思う。
ただあの、バカ弟に日記帳を勝手に読まれて怒る姉の、あの一連のシーンの異様な禍々しさ、嫌な予感、一瞬で起こる突然の負の嵐は、凄すぎて呆気に取られてしまった。なんなんだあれは。
ただ、あの無意味にブチギレられてた観光客の父子はえらい可哀想やな…と思った。