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10.20

『よだかの片思い』

もうとっくに上映も終わってしもた頃にごめんなさいね、安川有果監督『よだかの片想い』をだいぶ前に見たのでした。
あんまり詳しく内容も知らずに見て、見たあと色んな人のコメントやインタビューを読んで、「なるほどこれは女性の美醜とルッキズムがメインテーマの映画だったのか…」と思ってしまうほど、私にはさほどこの作品の中で主人公の「顔のアザ」が物語を動かしてると思わず、むしろ、何も知らない一般女性が映画監督と付き合うと撮影中なんかは全然構ってもらえないことに怒りを覚えそれを機に2人の関係がギクシャクし最終的に男がめんどくさがって別れる、という世のあるある恋愛話としてそれなりに楽しんで見てしまったんですがね。ダメですかね。その場合、なんでか「別れを糧にして…」みたいに思わなきゃいけないのは女で、男はマジでなんも考えてないあるあるもよかったですね。
彼女はこれまでにたくさんの葛藤や苦しみを経たとて、今は堂々と顔を出しながら生きている、そのことを非難したり同情したりする人間は大学にも友だちにもいなくて、別に付き合った男に「それがいい」とか無神経なこと言われたわけでなく、むしろ「ただ顔にアザがあるだけの普通の大学生」としての日常や恋愛を描いていて素晴らしいとも言えるけど、殊更そこにテーマを見出さなくてもいいんじゃないかしらんと思ってしまいました。本を書いたのはそんな彼女の選択なんだし。
安川監督の演出力は相変わらず冴えに冴えていたが、今回は更に恋する女の子をこんなに上手く撮れるのかという発見もあり、また次回作も楽しみに。