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11.28

『やまぶき』

花金の渋谷が怖過ぎて半泣きになりながら、山﨑樹一郎監督『やまぶき』へ向かう。
監督が実際に住んでいるという岡山県真庭という地方を舞台に、細々と生活する韓国人(永住者ではないのかな)労働者とその周辺の人々、ひとり静かにサイレントスタンディングを続ける女子高生と刑事である父親、アホっぽいチンピラたち、乗馬の有名選手…と一見脈略のない人たちのそれぞれのドラマと繋がっていく世界。ひとことでは言い表せない、なんとも不思議な映画だった。でかい石がゴロゴロ、でかい鞄がゴロゴロ、よく考えるとふざけてんのかってくらいに単純なことがあっという間に人の運命を左右する。
韓国人演じるカン・ユンス氏や女子高生演じる祷キララくん、役者さんたちがみんなすっごい魅力的で、特にカン氏はご本人の経歴もえらいユニークで、この人見つけてきた時点でかなり勝ちな気がする。しかし映画の中ではかなり散々な目に遭っていて(事故った時の思わず出た一言はキツかった…)、我が同胞にはいつか映画の中でも幸せになってほしいもんです。
それに対し、祷キララくん演じる「やまぶき」の力強い佇まい、何が起きても揺るがない眼差しに、やっぱり若い女の子はいいネ…と気持ち悪いことを思った。でもみんなも思ったはず。
16ミリフィルムに映る地方都市のリアルな姿が、いやそれが現実にリアルなんだろうけど、さすがにちょっと終始空気が重く感じて、ほんの少しくらいユーモアを感じさせる瞬間なんかがあってもよかったんじゃないかしら、と関西人は思ふ。