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12.14

『ある男』

原作小説が面白かったような気がするので(すぐ忘れる)、石川慶監督『ある男』を。この監督の作品は初体験。
小さな町でバツイチ子持ち女性・里枝と他所者の男・大祐が出会い、結婚。数年の平和な生活ののち男は事故死。死後、彼の名前や経歴はまったく別人のものと判明、死んだ男は誰だったのか、弁護士・城戸が調べていくうちに浮かび上がってきた事実とは…、という内容は原作を読んでいたので大体知っていたけど、小説が弁護士の内面描写多めだったのに対して、映画は城戸というキャラクターとの距離の取り方が絶妙で良かった。妻夫木聡に思索は似合わない。
全体的にも無駄にドラマティック過ぎず深刻過ぎず、狭過ぎず広過ぎずで、久しぶりに特に良くもないけど悪くもない、ちょうどいい日本映画を見たって感じで、「普通」という褒め言葉でいかがでしょうか。
今の日本で死刑囚の息子として生まれることと在日朝鮮人の子として生まれることは全然違うと思うけど、まあ今の日本なら生まれた本人のしんどさは似たようなものなのか。辛いね。ちなみに、死刑囚の子はわからないけど、この映画の中の在日に対する普通の日本人の反応はまあまあリアル。
最近心の優しい私は映画の中でも子どもが親の死ぬ場面や酷い状態を目撃するという演出に「やめてあげて…」と思ってしまいがちなもので、あの林でのシーンはなんとかならんかったかね。あの息子役の少年はとても良かったけど。
ラスト、妻のメールを読んでしまった後ろ姿で終わってたらめっちゃ爆笑してめっちゃ褒めてたけど、やっぱりそれじゃあかんか…。
妻夫木はそろそろ体を3倍にして顔を2割痩せないと、歳を取り損ねると思う。今まで正視できなかった窪田正孝は、ずっとこの髪型にしておくことをお勧めする。ボクシングのボディ作りも含め悪くなかった。
しかし万が一柄本明が死んでしまったら、日本の映画界は大丈夫なのだろうか。