BLOG

12.31

『ラーゲリより愛を込めて』

若手映画ばかりじゃなくてもちろんベテラン監督もと、瀬々敬久監督『ラーゲリより愛を込めて』へ。いつもありがとうございます!
この映画、予告の「人が死にます!泣けます!感動します!」の押し売りが酷くて見る前はあまり期待してなかったんだけど、いやはや実際見てみるとさすがZ、かなりドライな内容と描写で、ベテランの力を感じさせてくれました。これはZ監督が撮ってほんとに正解かと。派手な映画ではないけれど、退屈だとかダルいとかはまったく感じなかった。そしてまんまとちょっと泣いた。
第二次世界大戦終戦後もシベリアの収容所に捕虜として不当に抑留され強制労働を強いられた日本兵たち、そこでも希望を失わず生きることを諦めなかった山本幡生という実在の人物の半生。
豪雪のロケ地で撮られたその収容所が怖いこと怖いこと…、とにかくソ連は恐ろしい(いや日本も戦中は似たようなことしてたんでしょうけど)。その容赦ない暴力の様子やゴロゴロ転がる死体、裏切り者、それらをやたらと丁寧に撮るZ。これを見ると「戦争だけは絶対イヤだ」と思える正しい教育映画。ってロシアは今も同じようなことしてるんだけれども。
その苦境の中で徐々に仲間からの信頼を集める山本さん演じるニノ、げっそりした体に流暢なロシア語、今回も相変わらずいい役者だった。ニノの元上司を演じる安田顕は今回で初めて良いなと思った。あの潰れた顔はほんまに怖いよ。そしてケンティこと中島健人が役者としてかなり良いという嬉しい発見。息子に欲しい。
不安だった松坂桃李にはあまり芝居をさせないというZの賢明な判断が素晴らしく、滑舌が不安過ぎた桐谷健太には最後の手紙を読ませないというZの賢明な判断が素晴らしかった。しかしあの目力には何回か笑ってしまったごめん。
で、シベリアパートと同時に描かれる日本パートでのニノの妻役北川景子、黒髪のせいなのか異様な美しさを放っており、そこだけが異次元のような謎効果を発していた。美し過ぎてもうちょっと窶れメイクを施してもいいんじゃないかしらと思ったけど、まあ大人の事情は色々あるのか。
で、基本的に全編文句はないけれど、最後の結婚式パートは「絶対いらんやろ…」と思ってしまった……、ごめん…。
では、良いお年をー!