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1.16

『非常宣言』

2023年、明けましておめでとうございます。東京や名古屋を経て大阪から今年もよろしくお願いします。
そう、私は今大阪にいにいるのですが、大阪とはつまり名画座がほぼ存在しない街(二十数年前はあったんだけどね)。見たい映画がないんよ〜、辛(つら)〜。
そんな中映画初めに選んだのは、ハン・ジェリム監督『非常宣言』。ソン・ガンホ&イ・ビョンホンという二大スーパースター夢の共演に惹かれて見てみたのだが、「これ、この2人の必要あった…?」と思ってしまうくらいにパニックに次ぐパニック、俳優を見てる暇なんてないくらいのパニックムービー。マジでずっとハンカチ握りしめながらハラハラ見てたけど、最終的に日本の航空自衛隊がその旅客機をミサイルで撃ち出したのにはびっくりし過ぎて笑ってしまった(いや現実に十分有り得るシチュエーションなんだろうけど)。
キチガイ系テロリストによりハワイ行きの旅客機の中で起こった殺人ウィルスによるバイオテロ。一応非常にナウな問題を扱っているもののテロリスト当人は早々に自分も感染して死亡、次々と客が死ぬのは防ぎようもなく。そんな中これでもかと起こるパニックたちは是非ご覧になって確認してもらうとして、そこに、ソン・ガンホ演じる刑事やイ・ビョンホン演じる元パイロットたちの背景を語る回想シーン(そもそもこの2人は映画の中で一切絡まない)や他の乗客たちの人間ドラマは完全無視、まったく描かない。テロリストの犯行理由も「キチガイでした」で終わりという、本当にその飛行機の中と地上で事件の解決に奔放する人たちの姿だけで興奮と感動をお届けする潔い映画の作り方には大変好感を持ちました。現代社会の醜悪さもよかったよ。
がしかし、最後の最後、かなり衝撃のラストが待っていて、私は個人的にはこの終わり方(起こってしまった現実を映画の中の誰も悲観的に捉えていないという点で)はかなり凄いんじゃないかと感動したんだけど、どうなんだろうか。