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1.21

『子猫をお願い』

一度見た映画は滅多に見直さない派だけどなんとなくもう一回見てみたくなったチョン・ジェウン監督『子猫をお願い』。2001年の作品ってことは22年前か。今見直して本当によかった。
いや公開当時も感動して大好きな映画だったけど、多分そのとき主人公の女の子たちと私はまさに同じ歳で、自分に寄せてしか見ることが出来てなかったんだけど(そんな風に見ても最高の青春映画だけど)、今回冷静に距離を持って見てみて、この映画の凄さが初めてわかった。ダメなところがひとつもない。ほぼ完璧。すさまじい。だからと言って「ここが凄い!」と説明しにくい、一見凄さがわかりにくいところも凄い(語彙力の問題)。
22年前の仁川(インチョン)が舞台に高校卒業後バラバラの進路に進んだ仲良しグループ女子5人組、プライベートではそれぞれ悩みを抱えつつ、顔を合わす十代に戻ったようにバカ騒ぎ。しかしそんな日々も永遠に続くわけもなく。
と、特に変わった話でもないのに似たような映画が思いつかない、強いて言うなら、この世界の無邪気さと残酷さに対するバランス感覚が吉田秋生の漫画を思い出させる。それはつまり天才。
薄汚れた仁川、あれは再開発の工事なのか今はもう全然違う街になってるのかな、空港しか知らんからわからないけど、街の撮り方、バスからの眺め。貧しい友だちのハンメ、封建的な家庭の電子レンジに映る母親の顔、家族写真。その選択。
今、十代二十代の若い人も絶対に見た方がいいと思うけど、シネリーブルさんは年齢層高めだった。若者に勧めたいけど友だちは高齢者多めなので直接伝えられなくて悲しい。