「ぶっ放せ!ドン・シーゲル セレクション」にて
「電車の乗り換え」がこの世の嫌いなことトップ3に入るこの私が、乗り換えに次ぐ乗り換えを乗り越えて、東京は菊川に最近新しくできた映画館 Strangerさんに通った理由は、シンプルにドン・シーゲルをほとんど見てないから。
「ぶっ放せ!ドン・シーゲル セレクション」にて、50年代から60年代では『第十一号監房の暴動』(54年)『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』(56年)『殺人捜査線』(58年)『燃える平原児』(60年)を、60年代から70年代では『殺人者たち』(64年)を(特集は現在進行形で上映してるけど私が大阪にいるうちに終わってしまうのでこれ以上は見れないぴえん)全部初めて見た。全部超おもしろいのね、なんで今まで誰も教えてくれなかったのか。
そう全部おもしろいんだけど、特に衝撃的だったのは『燃える平原児』でしょうか、例の如く作品情報をまったく持たずに見たら、今私が超にわかにハマってるエルヴィス・プレスリーが主演、やったーと喜んだのも束の間、歌わないエルヴィスがインディアンと白人の両親から生まれた自分のアイデンティティーに苦悩、特に色恋の要素もなく、ひたすら暗い西部劇。それがまた完璧で凄まじいんだけど、特に、傷を負った母親がヘロヘロの体でひとり山に向かって歩くシーン、その迫力、とてつもないものを見た感じ。あれはスクリーンで見れて良かった。当時は超人気歌手だったであろうエルヴィスはもっと陽気な映画に出てると思ってたから全然イメージと違った、すごい時代だ(加山雄三にとっての成瀬みたいなものかしら)。
あと『殺人者たち』もめっちゃかっこよかったな。カサヴェテスの正直者が馬鹿を見過ぎなところが泣けたけど、リー・マーヴィン演じる殺し屋が聾学校で仕事するって、その時点で大好物過ぎた。男も女も悪い奴ばっか、悪い奴はきちんと殺される、だからラストには全員殺される…。最高。
ところでStrangerさん、やっぱり新しい場所は清潔感があって素敵ね。オシャレなカフェもオシャレなグッズも新鮮やけど、特集内容のせいか、私が行ったときは観客がおじさん多めで既視感エグかった。頑張ってほしい。